戦闘とか面倒臭い

71/75
前へ
/486ページ
次へ
「…あいつは…私の両親を目の前で玩具にしました」 そうしてカルラは詳細を語りだす。 ”ダークフェンリル”は魔物の中でもかなり凶悪な部類。 噂では人語も自在に操るとか。 何よりもその残忍性。 一撃で相手を仕留めず、弄びながらゆっくりゆっくり… 相手に飽きるまでその命を弄ぶ。 最終的にそれを喰らうのだ。 ”獲物が一番大事とする者の前で” 個体数は非常に少なく、出会う事が稀である。 カルラは両親と共にアンレ街道でそいつと出会った。 今から約5年程前。カルラは12歳になったばかり。 深夜街道を歩いていた両親とカルラ。 漆黒の闇に溶け込むその風貌。 察知するのが遅かった。 本来この様な時間帯に、少人数で街道を歩かない。 魔物にとって格好の的となるからだ。 3人は運が悪かった。 途中で馬車が故障し、現れた魔物により同乗者達は死亡。 命辛々逃げ出し、夜の街道をひたすら街へと進んだ。 ボンゴレまで残り僅か… 目と鼻の先にあるその街へ、3人で辿り着く事は叶わなかった。 闇に溶け込む”それ”がダークフェンリルであると知ったのは2年程前の事。 とある文献に描写された”それ”がダークフェンリルと瓜二つだったからだ。 両親は自分達を犠牲にし、街へとカルラを逃がした。 容易くそれを見逃したダークフェンリル。 振り返る事を両親から禁じられたカルラは、ただただ街を目指して走り続けた。 ”誰か助けて…”そう願いながら。 遠くから両親の悲鳴が聞こえる。 立ち止まりそうになる自分を必死に焚き付け、カルラは街へと辿り着いた。
/486ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34101人が本棚に入れています
本棚に追加