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ダークフェンリルが一歩前へ足を向けた。
そして直後、両親は頭からその身を喰われていく。
『あ…が……オエッ…』
声にならない声を上げながら、その場で嘔吐するカルラ。
グチャグチャと肉を喰らう音…
意識を手放しそうになる。
だが、その度にダークフェンリルは衝撃波を浴びせ、強制的に意識を呼び戻す。
地獄であった。
そして両親がその身全てを喰われた後…
『ギャーーーハッハハハハ!!』
醜悪に笑いながら闇に溶け消えた。
その声を聞きつけ、ガルルンと執事がその場に駆けつける。
血まみれの路地に、一人呆けているカルラを見つけ保護した。
精神は崩壊しかけていた。
すぐさま治療魔術が施され、カルラは何とか精神を回復させる。
それでも3年の時を必要とした。
今、笑える事が奇跡と言える程の大きな傷。
カルラが偶然見つけたガルルンの図書物、”魔物図鑑”をパラパラと捲っていく。
その中に忌むべき対象を発見した。
それがダークフェンリルだ。
以来、カルラは暇を見つけては魔法訓練をし、遠距離から戦える武器”魔銃”の習得に励んだ。
そして俺と出会い、旅立ちを決意した…という訳だ。
カルラの話しを聞き終えた俺は、ゆっくりと身を起こした。
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