34096人が本棚に入れています
本棚に追加
/486ページ
「…辛かったな」
陳腐な言葉だが、それ以外に掛けられる言葉が見つけられない。
ゆっくりとカルラの頭をなでる。
嗚咽を漏らすカルラ。
それが止まるまで、俺はゆっくりと優しく頭を撫で続けた。
復讐なんて下らないと思う。
だが、それで気持ちが晴れるのなら…そうすればいい。
「…一緒に行かせて下さい…お願いですから…」
震える声は当時の辛さを物語る。
そうか…消えない傷は俺だけが持つものじゃないもんな。
先程まで連れて行くつもりは微塵も無かった。
それが今揺れ動いている。
悩むくらいなら連れて行こう。
復讐に手を貸すつもりは無いが。
「…わかった。だけど、俺は仇討に手を貸さないぞ?」
そう告げると、カルラは小さく頷いた。
「自分でやらなければ…意味はありませんから」
そう俺に言いながら。
お互いに苦笑を向けあう。
俺達は無言で部屋を出た。
行先はガルルンの部屋。
カルラを同行させる旨を説明する為だ。
最初のコメントを投稿しよう!