王都へ向かおうっと

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翌朝、鳥の鳴き声を目覚ましにし、俺はゆっくりと瞼を開いた。 ベッドの傍に位置する窓からは、早朝の穏やかな日差しが室内を照らす。 ベッドからモゾモゾと這いだし、寝る前に着替えたTシャツとスウェットからいつもの服へ。 しかしまあ、いつまでもYシャツにズボンとは行かないな… 出発前に服でも買うか。 創造すれば容易いのだが、何でもかんでもそうしてしまうと味気ないだろう? ということで、玄関で待ち合わせたカルラと合流し、ガルルンに別れを告げ屋敷を後にした。 街の南西付近に男子用の服屋があるそうだ。 ひとまずそちらに向け歩いて行く。 道すがら収納空間を使えない理由を聞かれる。 「苦手なんだ」と無理やりに誤魔化し、道中はカルラの収納空間を使用する事にした。 カルラは魔術を少々使える。 と言っても、扱える訳ではないので、それなりの魔術しか使えない。 魔術でも初歩と呼ばれる魔術。 以前登場した”エアーズ・ハイ”等の殺傷力の低い魔術だ。 今日のカルラの服装は、旅を意識してかTシャツにホットパンツ、黒いロングコートにブーツ。 割と動きやすい恰好の様だ。 どことなく浮かれているカルラ。 軽くスキップ等している。 それを微笑ましく眺めつつ、俺達は服屋”メンズビゲン”へ向かった。 店内には男物の洋服が多々並んでおり、旅行からお出かけ用。 更には旅シリーズまで多種多様に取り揃えている。 店内を物色しつつ、カルラにどれが良いか聞いてみる。 カルラは「うーん」と唸りながら、黒のニットと少しだぶついた黒いズボンを選んだ。 商品名は”男の旅路2012”だそうで、”硬化錦糸”をベースに仕上げた自慢の一品だそうな。 ”硬化錦糸”で造られた商品は、なまくらな剣なら軽く受け止めるそうで、値段もそれなりにする。 値段は…金貨2枚。 値札を見ていなかったのか、カルラは一瞬それを見て硬直する。 「値段は気にするな」そう告げると、笑顔を浮かべ他の品を選びに行った。 その後、もう一枚服を手にこちらへ駆けてくる。 黒いロングコートだ。 デザインは至ってシンプルで、カルラが着用する物と酷似している。
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