はじめに

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あたしは斉藤朋佳(さいとう・ともか)。 産婦人科の医師である。 旦那の斉藤孝(さいとう・たかし)とともに、この街に“さいとう医院”を開業した。 外科と産婦人科。 奇妙な組み合わせになるが、仕方ない。 近くに総合病院……あたしが勤務していた総合病院があるため、連携がとりやすく、患者さんも集まりやすかった。 休診日を設けてはいたが…産婦人科の看板があるため、事実上、休みなんてないようなものだった。 分娩設備は完璧だ。 1階を外科、 2階と3階をを産婦人科とした。 妊婦さんでも苦痛にならない大きな緩やかな階段。 その建築設計は、あたしが一番こだわった。 もちろん、エレベーターもある。
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