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ありさは終始ふてくされていた。
ありさを両親から離してみた。
ありさに検査に行かせたのだ。
ありさが居なくなると両親はあたしの前で…………はじめた。
「お前の育てかたが悪かったんだ」
「あなたがもっと家庭をみないから」
「ふしだらな」
「ご近所さんになんて言えば?」
「出産したら、あいつは高校どうするんだ」
「親戚にも報告できない」
「一体どうしたら…」
あたしは黙って聞いていた。
ありさへ向けての、優しい言葉がいつになったら、でてくるか………。
期待できそうに、ない。
あたしがだした、結論。
さて。
次はありさの番だ。
検査の続きをするからと、両親を診察室からだした。
「あちらでお待ちください。待合室は妊婦さんでいっぱいなので」
そう言って、案内したのは、新生児室前の廊下。
たくさんの新生児が並んでそれぞれのベッドで寝ている。
ガラス越しに長椅子を置いていた。
ありさの両親も、あのベビーちゃんたちの前では静かにしているだろう。
その間、診察室にありさを招く。
“検査”と言ったが、両親とあたしが話している間に、ありさは新生児室前の長椅子にいたのだ。
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