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「あなた、あの赤ちゃん。ありさが産まれた時に似てない?」
「………あぁ、言われてみたら、似てるかもな」
夫婦は長椅子から立ち上がり、ガラス越しにベビーちゃんたちを見つめはじめた。
「あら、あっちの赤ちゃん!楽しい夢でもみてるのかしら?」
「お、笑ってるか?」
「男の子も多いな」
「あなた欲しがっていたものね」
「あぁ、結局女の子ばかり3人も、だったがな」
夫婦はしばらく、黙って新生児室のガラス越しの時間を過ごした。
やがて夫が口をひらく。
「なぁ…ありさの子供は………どっちかな」
「そうね、……案外男の子だったりしてね」
「…………かもな」
「………なぁ?」
「………ねぇ」
夫婦の表情は、優しいそれに変わっていた。
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