66人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえカス……鈴利くん」
「今お前カスと鈴利を混ぜてカスズリとか言おうとしただろ」
全くこいつは……
毒を吐かなきゃ僕とまともに会話もできないのか。
どんな体質だ。
「言いがかりは止してくれないかしら。 不愉快だわ」
「いいや、確信犯だ!!」
「いいえ、愉快犯よ」
「もっと質が悪いだと!?」
楽しんでやがるぞ、こいつ!?
いや、しかしまあいつも通りの長屋さんだ。
というか、いつも通りの雑談だ。
学校帰りの道でも長屋さんは元気一杯なのである。
と、その時。
ただ前を向いていただけの僕の視界が、黒髪ロングの美人の顔で埋まった。
ていうか長屋だ。
急なことで驚きを隠せない僕。
「どうしたの鈴利くん? 鳩が実弾を食らったような顔をして」
「それただの死に顔だろ!?」
「いいえ、安らかな顔よ」
「それでいいのか、鳩ーー!!」
無駄に変な設定が頭に浮かんでしまった。
にしても酷いことをしやがるぜ、この女。
「ところでカスズリくん。 聞きたいのだけれど」
「長屋。 質問するのはいいけどせめて初めのように言い直せ」
「あら、ごめんなさい。 あまりにも似合っていたものだから」
「僕はそんな不名誉なニックネームが似合う男になったつもりはない!!」
うーむ……
こうして長屋と話をしていると、いちいちツッコミを入れてしまってちっとも話が進まない。
そりゃツッコむ僕も悪いかもしれないけど、わざわざツッコミどころ満載の毒を吐く長屋だって悪いんだ。
てか長屋が悪い。
最初のコメントを投稿しよう!