プロローグ

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「一人ぼっちだわ」 「僕がいるのにか?」 放課後の教室。 夕日の差し込む教室には二つの影があった。 長屋 桃花(ながや とうか)。 高校2年の17歳。 綺麗なストレートの黒髪。 細身で女なら誰でも羨むプロポーション。 見たものを凍てつかせるような冷たい瞳。 男なら誰でも振り返る美貌。 長屋桃花はそんな女子だ。 「あらやだ、何故私がゴミを人として認識しなければならないのかしら」 「まず僕がゴミだという認識を改めろ!!」 彼女は毒舌家だ。 普段は寡黙なくせして毒を吐く時の舌の滑らかさは正直恐ろしいほどだ。 「なら何だというの? 言ってみなさいな」 「僕は人間の男子高校生だ! 決してゴミではない!」 僕はゴミとか言われるようなことしたか? いいやしてないね!! 「ゴミであるということは鈴利(すずり)くんのプライドではなかったの?」 「んな不可解なプライド持ってねーよ! いつそんなこと言ったよ、僕は!!」 「あら忘れたの? ああ…………ごめんなさい鈴利くん、あなたのような存在に脳味噌があるわけがないわね。 気が付かなくて申し訳ないわ」 「僕はどんな存在だよ!?」 今日も元気一杯、長屋さんだった。
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