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「沙耶ちゃん、ごめんねー」
「ごめんって思うならサボるのやめなって。全く……あんた存在感無いから先生全然気づかないし、探す私も――」
沙耶ちゃんのお説教が始まった。けど、言っていることのほとんどは、右から左へと流れ出ている。沙耶ちゃんから視線をジュンに移すと、ポカーンとした表情でこっちを見ていた。
「――なんだからね。分かった?」
「うん、じゃあ今度から回数を減らすよ。一日三サボリくらいに」
「サボるのを止めろと、言ってるだろうが!」
「えー」
「全く……教室に帰るよ」
「はーい」
沙耶ちゃんに着いて行き、ドアの前に着いて後ろを振り返ると、ジュンがぽつんとさっきの場所で一人佇んでいた。
「ねぇ」
「なに由真ちゃん」
私がジュンに話しかけている事に、沙耶ちゃんは気づかずに先に行こうとする。置いていかれて、後で置いていった事に沙耶ちゃんが気づいて怒られるのが面倒なので、さっさと言いたいことを言ってしまう。
「何そこで浮いてんの? あんた、私の守護霊なんでしょ?」
「っ! 由真ちゃん、それって――」
「ほら、さっさと行くよ。早く行かないと、沙耶ちゃんに置いて行かれる」
「うん!」
ジュンが後ろから着いて来る――いや、憑いて来たのを確認してまた歩きだして少しの疑問が私の脳内に浮かんだ。
今まで気にしてなかったけど、なんで、見えなかった私が、ジュンをいきなり見えるようになったんだろう?
そう思って、後ろを振り返ると、へらへらとした笑顔のジュンが居た。ま、今聞いている時間無いし、またの機会に聞こう。そう、考えて私は屋上を後にした。
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