透明少女と幽霊少年

2/10
前へ
/11ページ
次へ
「という訳で、七不思議の屋上の幽霊少年だった僕は、はれて君の守護霊となりました」 「うん。どうしてそうなったか20字以内で答えよ」 おかしい。おかしい。何がおかしいかというと、私、榊由真の人生設計の中には『屋上で幽霊と話す』なんていうふざけた物は計画されていないからだ。 「それは勿論君に一目惚れをしたからだよ」 「わけが分からない、というか、わけを分かりたくも無い」 「えー」 私の目の前をふよふよと浮きながら、へらへらと笑っている体が半透明に透けている男の子。自称『屋上の幽霊少年』のジュン。名字は聞いたけど、答えたくないらしい。 「ま、ということでこれからよろしくお願い――」 「するか!」 「でも由真ちゃん、何だかんだ言いながら僕と話してくれてるじゃん」 へらへらした笑顔のままそう言うので、私は盛大にため息をついた。私以外の人がやったら、盛大な独り言を言っているように見えるようなことを、出来るのには訳がある。それは――。 「それはね、私の影が死ぬほど薄くて、居ても居なくても気づかれなくて、独り言を呟いても、話しかけてもスルーされるからよ。だからあんたと場所を気にせずに、話が出来るの。分かった?」 「えーそれ単なるイジメじゃ――」 「断じて違う。そういう変な心配すんなし」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加