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「という訳で、七不思議の屋上の幽霊少年だった僕は、はれて君の守護霊となりました」
「うん。どうしてそうなったか20字以内で答えよ」
おかしい。おかしい。何がおかしいかというと、私、榊由真の人生設計の中には『屋上で幽霊と話す』なんていうふざけた物は計画されていないからだ。
「それは勿論君に一目惚れをしたからだよ」
「わけが分からない、というか、わけを分かりたくも無い」
「えー」
私の目の前をふよふよと浮きながら、へらへらと笑っている体が半透明に透けている男の子。自称『屋上の幽霊少年』のジュン。名字は聞いたけど、答えたくないらしい。
「ま、ということでこれからよろしくお願い――」
「するか!」
「でも由真ちゃん、何だかんだ言いながら僕と話してくれてるじゃん」
へらへらした笑顔のままそう言うので、私は盛大にため息をついた。私以外の人がやったら、盛大な独り言を言っているように見えるようなことを、出来るのには訳がある。それは――。
「それはね、私の影が死ぬほど薄くて、居ても居なくても気づかれなくて、独り言を呟いても、話しかけてもスルーされるからよ。だからあんたと場所を気にせずに、話が出来るの。分かった?」
「えーそれ単なるイジメじゃ――」
「断じて違う。そういう変な心配すんなし」
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