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影が薄いのは生まれつきだ。小さな頃からそうだ。旅行に連れて行くのを忘れた事数十回、旅行に連れて行ってもらえても、旅行先で置き去りにされる事数え切れないほどある。
だから別に、学校で無視されようが、スルーされようが、話しかけても気づいてもらえなくても、それは私の影が薄いのが原因だから、仕方のないことだと私は諦めている。
「――だからあんたと何処でも話す事が可能なの。分かった」
「……由真ちゃん」
「分かったら、一目惚れしたから守護霊になるとか、ふざけたこと言ってないでさっさと成仏――」
「寂しかったよね!」
「は?」
なんか……この人――じゃないや、この幽霊だ。この幽霊、涙目になって私の手に触れてるんだけど? 触れてるって言っても、相手は実体が無いんだから、触られている感覚は無いんだよね。視覚的には触れられているのに、感覚は無いなんて不思議。
「寂しかったよね。僕も、さ、幽霊になってから誰にも気づいてもらえないしさ、話しかけても誰にも届かなかったから……由真ちゃんの気持ちよく分かるよ。すっごい寂しいよね」
「え、別に」
「何で?! 僕一人ぼっちで凄い寂しかったんだよ!」
ずいっと顔を寄せてきたジュンを、軽く手であしらう。ついでに、触られている手も、そっと引っ込めた。あー……こいつは、なんで幽霊なのにこんなに熱いんだろう。
「だって、もう慣れたし。ていうか、あんたは七不思議でしょ?」
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