碧壱章 紅榛名の行方

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「あ……、基成様……。 おはようございます」   寝起きのイエヤスが伸びをした後 北条に挨拶する。   「お、おはよう。イエヤス……。 と言うか、何故俺の部屋に イエヤスが居る……?」   「ふぇっ……?」   回りを見るイエヤス。   「どうやら、厠(かわや)へ 寄った時に、寝惚けて 部屋を間違えたみたい ですね……」   「とりあえず、早く部屋に戻れ! イエヤス……!」   「どうしてですか……?」   決まりきった事を 北条に尋ねるイエヤス。   「どうしてって……。 とにかく、この状況を 誰かに見られたら また、変に疑われる。 だから、今の内に自分の 部屋へ……」   その時、部屋の前に 誰かがやって来る。   「基成様、おはようございます」   (ブッ……!よりによって こんな時にヨシモト 来やがった!)   爽やかな朝が一瞬にして 修羅場と化し、焦る北条。   (イエヤス、布団に隠れてろ! 俺が、『良い』って言うまで 顔を出すなよ!)   (は、はい……)   「どうしたんだ、ヨシモト? こんな朝早くに……」   北条はイエヤスを一旦 布団の中に隠して 冷静を装い、ヨシモトを声で 対処する。
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