碧壱章 紅榛名の行方

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「基成様と朝食でも、と思い 膳をお持ちしましたの。 開けてもよろしいですか?」   (なっ、何っ……!? ここで飯を食う気か!?)   更に焦る北条。   「待て、ヨシモト! 着替えるから、ちょ~っと 待ってくれ!」   障子越しに答える北条。   「あら……。それでは お手伝い致しましょうか?」   「いっ……!いいから 少し待ってろ!」   (どうする……?よし。 襖を閉めて見せない様にしよう)   布団部屋の襖を閉めて隠し 服を着替えてヨシモトを迎える。   「基成様、よろしいですか?」   「あ、ああ。入っていいよ」   「失礼しますわ」   北条の書斎部屋に入り 膳を運ぶヨシモト。   「あれ?ヨシモトの魚 味噌煮なのか? 俺の焼き魚になってるのに」   ヨシモトと自分の膳に 違和感を持つ北条。   「あら、本当ですわね」   気付くヨシモト。   「マサムネのなら、俺にくれ」   「残念ながら今日のこれは マサムネ様では、ありませんわ。 きっと、献立を間違えたの でしょう」   「そうか?残念だな……」   膳を囲み、二人向き合って 朝食を取る。   「うふふっ……」   微笑するヨシモト。   「何だ、ヨシモト……? 気持悪いなぁ……」   「こうしてると……。 まるで夫婦みたいですわね」   「照れ臭くなるから 止めてくれ……」   顔を赤らめる二人。
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