碧壱章 紅榛名の行方

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立ち上がり、北条の布団部屋に 入ろうとするヨシモト。   それを襖の前に立ちはだかり 阻止する北条。   「いいって!いいって!」   「私はお布団を畳もうとしてる だけですわよ……? 何故御止めになりますの?」   理由を聞くヨシモト。   「何故って……。 一大名に、布団を 畳ませるのは……」   (中にイエヤスが居るからとは 言えんし……! 何で焦ってるんだ、俺! 怪しまれるだろうが!)   「あっ!そういう事でしたか。 基成様」   その時、手を叩いて 何かを閃くヨシモト。   (まさか……!誰か居ると 気付いたのかっ!?)   北条の緊張が高まる。 しかし、ヨシモトの表情は 『疑惑』と言うより 『魅惑』を漂わせていた。   「もうっ……。基成様ったら そう言って下されば 喜んで、夜伽(よとぎ)に 参りましたのに……。 ポッ……」   顔を赤らめるヨシモト。   「そっ、それは違う……! 違うぞ、ヨシモト!」   「照れないで下さいな。 お任せ下さいませ……。 早速、準備を……」   その場で、自分の衣服を 脱ごうとするヨシモト。   「まっ……!待て待てっ! ヨシモト!」   流石にヨシモトの暴走を 阻止する北条。
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