運命の扉

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「天音、もし良かったら傘に入れてあげよっか? かなり雨酷いし……」 「あ、ううん。大丈夫、家近いし。それに私、課題提出しないといけないから先に帰ってて」 傘がないと言うことに対して心配してくれた友人だったが、天音はその申し入れをやんわりと拒否した。 普段なら、入れて帰って貰うのだが、この日だけは何故かそんな気分にならなかったのだ。 「そっか……。……じゃあ気を付けてね?」 「うん。ありがとう。バイバイ」 「また明日ねー」 傘を差して土砂降りの中帰る友人達を見送ったあと、天音はくるりと背を向けて歩き出した。 課題提出をしなければ、と言うのは嘘ではなかったらしく、天音は鞄からプリントを出した。 職員室に向かうまでの長い廊下。 普段のこの時間なら静まり返った廊下。しかし、今日は雨音と雷鳴により酷く五月蝿かった。
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