運命の扉

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「失礼します。先生、プリントを持って来ました……って、あれ……?」 職員室のドアを開けたものの、教員は誰もいなかった。それどころか、電気すら消えており、雷の光で微かに部屋が照らされるだけだった。 確かに先生は天音に部活後プリントを持って来るように言った。なのに、その先生だけでなく、誰一人として教員がいないのだ。 天音は唐突に不安になり、駆け出した。普段なら、学生が部活動に精を出していたり、自主的に残っている学生だっている。 なのに、学生が何処にもいない。 雨だから、早く帰ったのだろうかとも考えたが、教員の姿が見えないと言うのは異様としか言いようがなかった。 次第に天音の心を不安と恐怖が埋め尽くしていく。 加えてこの天気だ。不安に駆られない訳がない。天音は少しでも早く帰宅したくなり、昇降口に向かう足を早めた。
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