645人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
走って走って漸く着いた昇降口。辺りを見回してもやはり人気がない。
そして、刹那に感じる違和感。
世界にたった独りきりになったような感覚。
天音は思わず身震いをした。無人の学校という、閉鎖的な空間から一刻も早く出ようと、天音は急いで靴を履き替える。
激しい雨音や雷鳴に次第に体が震えだす。頻りに辺りを見回しながら、靴を履き替えた。
そして、天音は昇降口を出た。
次の瞬間。
「きゃあぁっ!」
耳に残る凄まじい轟音と、眩い光が天音の目の前に広がった。
瞬間的に天音は目の前に雷が落ちたのだと思った。
目をギュッと瞑って小さくなっている天音。そして気付く。
――私、死んでない……?
そう。目の前に雷が落ちたにも関わらず、天音の意識はあり、意外にも冷静に物事を思考出来ているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!