運命の扉

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「……『ファイア・ボール』!!」 少年がそう唱えると、掌から赤く燃える炎が球状になり、少女に向かって勢い良く発射された。 炎の球は赤から段々と薄いオレンジがかかった透明な色に変化しながら飛んで行く。 「いやあぁぁぁ……!!」 ――落ちる……!! 落ちる少女、天音は心の中で死への覚悟を決めようとしていた。 ――まだ死にたくなかったけど……父さん、母さん……、ごめんなさい、私はもう逝きそうです……。 ――……今日ドラマの最終回だったのに……。 と、パニックになる余り場違いな思考までしながら落ちて行った……。 ――ポヨン……ッ 「……へ?」 と、地面に叩きつけられた筈なのに、クッションみたいな柔らかい感触を感じ、天音はゆっくりと目を開いた。 そこには、眼前に半透明のオレンジの炎が広がっていたのだ。 「な……っ、何これぇー!? 私……、もしかしなくとも浮いてる……!?」
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