緑の国と黄色い物体

3/14
前へ
/235ページ
次へ
「いや、正確に言えば四季はあるんだ。ただ、それが反映される国とされない国で差があるって感じかな?」 「反映……」 「あぁ。そうだ」 リオンの説明によると、どうやらこの世界の国は同じ世界にあって、同じ世界にないような感覚らしい。 例えば、この緑の国と隣接している冬の国での気候は全く違う。緑の国は1年中温暖な気候に包まれているが、1歩冬の国に入ると極寒の寒さに襲われる。 国と国の間には見えない『何か』があるように国同士が独立している、と言うのだ。 「……何だか不思議だね」 「まぁな。でも俺達にとってはそれが普通だし」 天音は初めて聞くこの世界の複雑な環境に対し、非常に混乱した。余りにも自分のいた世界と違うからだ。 しかし、そればかりを気にしても仕方ないと割り切り、最後の団子を手に取り口に含んだ。 口内に甘い団子の味が広がり、無意識に思考を弛ませる。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

645人が本棚に入れています
本棚に追加