ふつくしき花

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元治.師走、27日めの夜。 予想だにしなかった場所から 連れ帰ってこられた唯と 再会を交わした梨花は、 夜も更けていた為 取り敢えずその日は休息を取る事にした。 ーそして、 元治.師走28日めの朝…。 「起きて梨花ちゃあーん」 梨花用に構えられていた 5畳位と思われる部屋に 梨花を含め、 四人もの人間が集まっていた。 「…んーう…」 「おっ!起きた!! ほら!梨花ちゃん 朝だってのー」 ペチペチ 布団の脇から梨花の頬を 叩くのは、 昨晩の酔っぱらい1号だった。 「…はら…ださ…」 「お早う!なあ、 昨日俺、変な事したらしいな。 ほんっとにごめん!」 「…?」 ……変な事…? 寝起きの頭で、 昨晩の事を思い出してみる。 「…へんなこと」 「ああ、びっくりしたよ! 朝、なんか顔のあちこちが痛い と思って起きたら顔にこんな傷 あってさ!」 梨花は、むすっとした表情で言う 原田の顔に視線をよせた。 「…あ。」 …思い出した。 「こいつ、朝っぱらから ぎゃあぎゃあ煩かったんだぜ。 俺の顔殴ったのどいつだ 面借せやー! ってね」 襖の前に立っていた 永倉が、苦笑いしながら言った。 「おい新八!」 「で、殴った奴と殴られた 理由聞いて 今、謝罪を含め梨花ちゃん を起こしに来たって訳」 「あはは…」 覚えてないのに謝りにくるって… なんかアレだけど 「大丈夫。気にしないで下さい。 …変な事っていっても、 多分原田さんが想像 してる程厭らしくないですから」 「そっか、そっか! なら良かったんだ! …って、俺が助平みたいな 言い方だな」 え、この人 自分がスケベだって 自覚してない! 「スケベじゃないですかー」 「助平だろ」 原田が真面目な顔をして 言ったのを見て 永倉と梨花がお腹を抱えて笑う。 「お前らー! 俺は、かの有名な原田さんだぞ どんな敵でも槍で一突き! それに不死身なんだ 見ろよこの傷痕を!!」 納得のいかない 原田は、腹の傷痕が 見えるところまで着物を 脱いで見せた。 「いやー変態ー」
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