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背後にいる何者かはクスリと笑った。
「ねえ、こっち見てよ?もっと話がしたいな」
何者かがそう言ったので、おれは後ろを振り返った。
ソイツは不思議そうに首をかしげてこちらを見ていた。
多分、今までは自分の存在に恐れを成したものたちが一目散に逃げていったからだろう。
「私は瑠璃川皐月。ここの幽霊なの。君は?」
皐月は長い黒髪を揺らしながら微笑む。
「白崎晴」
おれが名乗ると皐月は嬉しそうに「それじゃ、ハレって呼ぶね」と笑顔で言った。
その直後に、少し俯きながら皐月は驚きの一言をいい放った。
「ねぇハレ。私に、素敵な恋をさせてくれない?」
「えっ?」
皐月の言葉が全く理解できなかった。
「何言ってんだ?お前…」
「だめ?」皐月は少しムッとした。そして…
「取り憑くぞ?」
と…言った
「は?」
「だから、取り憑くぞ?」
「…」
「とーりーつーくーぞー!」
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