パパとママへ

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目が覚めた時、僕はビックリしたよ。 いい香りがするフカフカの猫用のベッドで寝てたんだ! 今までの固い地面や虫だらけの軒下と大違いだよ! 僕は嬉しくてベッドの中を駆け回っちゃった。 夢中で気が付かなかったけれど、かなり前から誰かが僕に話しかけてたみたい。 声の主は優しそうなお兄さんとお姉さんだった。二人共手招きをしながら、ニコニコして僕を見てる。 こっちにおいでとお兄さんが言っているけれど、痛い事されないかな?でも優しそうな人達だから大丈夫かな? 僕が恐る恐るベッドから出てみると、お兄さんが僕をそっと抱き上げてくれた。 僕は一瞬ビクッとしちゃったけど、お兄さんの腕の中は大きくてとても暖かかった。 お姉さんは僕の頭を優しく何度も撫でてくれる。 僕はこの瞬間、二人の事が大好きになっちゃった。 だって、こんなに優しくしてくれる人間に会ったの初めてだもん。 お姉さんが僕の頭を撫でながら、今日からウチの子だよと言ってくれた。 僕が?本当に僕、このウチの子になってもいいの? お兄さんは僕に名前をつけてくれた。 君を拾った時に元気が無くて病院に連れて行ったんだ、それで早く元気になるように「ゲンキ」って決めたんだ。よろしくね、ゲンキ。だって! 生まれて初めての僕の居場所。 生まれて初めての僕の名前。 嬉しくて嬉しくて、初めて僕はこの家に来て声を出した。 僕をこの家の子供にしてくれてありがとうパパ、ママ!
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