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鞄を肩に担ぐ前方の少年は、
「まぁまぁ、そうかっかしなさんなってぇ。」
と言いながら、飄々と目前まで来たかと思うと、そのまま、くるりと背後に回り込み、
「必殺!脇線上のアリア!」
と、珍妙に叫んだかと思えば、
なんて事は無い。
ただのくすぐりだ。
が、
単純なだけに万人に効果のほどは絶大な技である。
詰まるところ俺も例外ではなく・・・、
《ギャハハハハハハハッ!》
桜並木にこだまするにはちょっとばかし風情のない笑い声が辺りに響く。
「ギャハハッ・・・・って!やめんか馬鹿!」
《ゴン!》
「いってぇ!何すんのさ?。人がせっかくこんな時も周りと歩調が合わない、ダメダメなカァ~ズマ君のためを思って伝家の宝刀まで御披露しったてのにさぁ!ブツんだもんなぁ~酷いよぉ。」
いや!
イタかったのは俺で!
酷いのはお前だからな!!
比較される材料として最悪だよ!俺はせめて普通の『弟』に出来のいい『兄』くらいのたち位置でいたいんだよ!!
なんて、
ここで言う分けにもいかず、
自然、顔を引き攣らせて語気をオブラートにつつむ。
「お前、相沢、地球の中心て自分だと思ってやがるだろ・・・。」
けど、むしろこいつにこの手の嫌味問いは意味が無かった。
「いってぇ、本当力だけは強いんだもんなぁ。え?中心?そんなの自分が中心で何が悪いのさ?」
そう、コイツは・・・
「人の主観には立てないんだから、自分の主観に広がる今がすなわち、僕の世界の全てだよ。一馬の世界の中心は一馬じゃねぇの?」
グッ・・・・、
自己中を通り越して、そのうち悟りでも開くんじゃねぇかと思うくらい返しに困る事を言うときがあるのだ。
「・・・ま、まず!世界は皆の物だからな!」
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