最初の最初

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虚ろな目をしていた。 鏡を見なくてもわかる。 僕は虚ろな目をしていた。 それが先程まで不良にリンチされていたからなのか。 いや、そんなんじゃない。 そんなのは馴れた。 ならなぜ。 なぜこんなに、 死にたいのだろう。 一人雨のなか、桜の木にもたれかかって座り考える。 「あらあら。ずいぶんやつれてる子がいるわね」 不意に。 誰もいないはずのところから声が聞こえてきた。 「ぼろぼろじゃない。うちの生徒ね」 たしかにその女の人は僕と同じ制服を着ていた。ネクタイの色からすると3年生だろう。 「たしか…白里 忍(しらさと しのぶ)…だったかしら?」 「…よくご存じですね」 「生徒会長ですから。生徒全員の顔と名前は一致させてるわ」 僕の愛想笑いに、にっこりと、だがどこか冷たく返す。
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