8人が本棚に入れています
本棚に追加
虚ろな目をしていた。
鏡を見なくてもわかる。
僕は虚ろな目をしていた。
それが先程まで不良にリンチされていたからなのか。
いや、そんなんじゃない。
そんなのは馴れた。
ならなぜ。
なぜこんなに、
死にたいのだろう。
一人雨のなか、桜の木にもたれかかって座り考える。
「あらあら。ずいぶんやつれてる子がいるわね」
不意に。
誰もいないはずのところから声が聞こえてきた。
「ぼろぼろじゃない。うちの生徒ね」
たしかにその女の人は僕と同じ制服を着ていた。ネクタイの色からすると3年生だろう。
「たしか…白里 忍(しらさと しのぶ)…だったかしら?」
「…よくご存じですね」
「生徒会長ですから。生徒全員の顔と名前は一致させてるわ」
僕の愛想笑いに、にっこりと、だがどこか冷たく返す。
最初のコメントを投稿しよう!