8人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
なぜか、
唐突に
本当に唐突に
頭に血が昇った。
「この髪を?この紅い目を?かわいい?ふざけないでください!これのせいで!」
「かわいいじゃない」
くすっとその人は笑う。
「というか女の子にしか見えないわよ。それにその銀の髪も綺麗じゃない」
毒気が抜かれた。
この人が真剣に言っていると、なんとなくそう信じれた。
「まぁそんなのはおいといて。変わりたい?」
「……こんな僕でも…変えてくれますか?」
「変わるのはあなただからわからないわよ」
くすっと笑ってからその人は僕に手を伸ばす。
その人から最初に感じた冷たさは、もう、感じなかった。
「ただ変わりたかったらこの手を取りなさい。手伝ってあげるわ」
そっか。
僕はまた笑っていた。
僕は変わりたかったんだ。
変えたかったんだ。この人生を。
手を伸ばした。
「お願いします」
「お願いされました」
二人で手をとって笑い合うのが、なんだかおかしくて一層笑いが込み上げた。
この時、
僕は変われた気がした。
最初のコメントを投稿しよう!