きっかけ

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それからは会話もなく無言のまま先輩の後ろをついていった。 5分は歩いただろうか。 小さな体育館のような建物の前で先輩は立ち止まった。 「さぁ着いたわよ」 「はぁ…」 中からは気合いの入った掛け声や、体育館特有の床を踏む音などが反響して聞こえる。やはり体育会系なのだろうか。 そう思い返すと不意に怖くなる。 僕は受け入れられるのだろうか。体育会系となるとやはり暴力的なイメージが強い。偏見だろうか。というより僕の今までの偏った経験なんだろう。 小学校ではクラスのガキ大将。中学校ではサッカー部に野球部、柔道部とまぁ、いろいろな暴力が頭にこびりついていた。 心拍数が上がる。 変われるのか?あの時と。 「なにつっ立っているの?」 繰り返すのか?また痛い思いをする日々を。 「こら!しのぶ!」 「…!?はっ、はい!」 先輩の声によって我に帰る。 「なにをびびってんのよ?私についてくるんじゃなかったの?」 その人は妖艶に笑っていた。
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