一章

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 刑事はそんなことよりも聞きたいことがあるのだろう、二宮の言葉を遮るようにして、 「そうですか。ところで、渡瀬教授は北神さんの目の前で倒れられたと聞きましたが、お二人は一緒に食堂に行ったのではなかったのですか?何故その時二宮さんは一緒にいなかったのかが聞きたいのですが」 「ああ、一緒に食堂に行ったというと語弊がありますね。私と北神さんは昼食は別々に取ったんです。私は一人で学食で食べましたが、北神さんは、外に食べに行ったの?」  二宮は言葉の最後を北神に顔を向けて尋ねると、 「はい、大学の外にある『ユニオン』という喫茶店に優ちゃんと」 「優ちゃん?」  若い方の刑事は目を細めて問い返す。
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