一章

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「そして、『ユニオン』ですか、そちらに二人で行かれたんですね?」 「はい」 「その店にはよく行くのですか?」 「そうですね、月に一,二回程度ですから、よく、というほどではないです」 「その店を出たのは何時ですか?」 「あれは、確か一時四十分頃だったと思います。店を出る時に時計を見ましたから間違いないと思います」 「その店を出てからはどうしました?」 「私と優ちゃん、大池さんは」 「優ちゃんで結構ですよ」  刑事は優しく微笑んで北神に言った。北神はすみません、と一言言ってから、 「私と優ちゃんは研究室がある棟まで一緒に帰ってきました。優ちゃんの研究室は二階で、私たちの研究室は三階ですから、優ちゃんとは二階で別れました。そして、研究室に戻ってきたのは一時五十二分でした」
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