一章

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「ところで、何か事件の目星はついているんですか?」 「いいえ、まだ捜査は始まったばかりですから」 「そうですか。先生の死因なんかもまだ?」 「そうですね、少し、不審な点が出てきたので、今、司法解剖に回しているところです。詳しい結果はもうすぐ分かるとは思いますが」  刑事はそこで言葉を切ると、先程火を点けたタバコの火を灰皿でもみ消し、 「ところで、お二人は渡瀬教授を恨んでいそうな人物に心当たりはありませんか?」 「先生を恨んでいる人ですか? うーん、先生は人の恨みを買うような人物ではないと思うんですけど。北神さんは何か、思い当たる事ある?」
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