梅雨の幸せ。

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「うわぁー、傘忘れたぁー」 部室鍵当番の僕はとっくに皆が帰った後に傘を忘れて雨に降られるという最悪の状況にいる。 「仕方ない、雨宿りしてこー。」 そう、呟き誰もいない昇降口の下駄箱の段差に座る。 これだから、雨の日は嫌だ。 髪の毛は広がるし、靴に水は入るし、気温の変化が激しいから寒かったり暑かったり。 鞄の中の宿題のプリントが濡れた時は本当に嫌になった。 「西野空。」 そんな、どうでも良いことを考えていると後ろから声がかかった。 「あ、星降。」 雨の日だって言うのに星降の髪はいつも通りで羨ましい。 僕何て直ぐに広がるのに。 「傘無いのか?」 「んー、そんなとこぉー。」 と髪の毛をいじりながら答える。 相変わらず、無表情だ。 雨が降ってるんだから嫌な顔ぐらいすればいいのに。 ポーカーフェイスとかムカつく。 「星降は帰ってなかったんだ。」 「あぁ、教室で忘れ物をして探すのに手間取ったらこの時間だ。」 もう、時刻は午後6時30分を過ぎている。 最終下校時刻はとっくに過ぎている。 だけど、雨なのだから仕方がない。 「俺、傘あるんだ。入るか?」 また、そう言うこと無表情で言う。 意味わかんない。 そういう風に優しくして期待させて余裕がない僕が馬鹿見たいじゃないか。 格好悪。 「遠慮しとくよ。傘二人で入ると結局どっちか濡れるしねぇー。」 「そうか…。」 何でそこで寂しそうな表情するんだよ。 マジで何なの? 僕をからかってるの? もし、そうだったら最低だ。
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