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「本当に、傘入らなくて良いのか?」
本当にズルいムカつく。
そういう、優しい所とか背が高い所とか綺麗な顔してる所とかたまに意地悪な所とか。
全部ムカつくよ。
「星降はさぁ…。」
もう、僕は泣く寸前だった。
もしかしたら、もう泣いていたかもしれない。
だけど、僕は叫ぶ様に星降に言った。
「そういう事して楽しいの?優しくして期待させるだけさせてさぁ…!僕がいつもどんな気持ちでその行動を受け取ってるかわかってんの!本当にムカつくよ。だけど、星降を嫌いになれないんだよ…!無理なんだよ!こんな、気持ち男相手に持つ何て。最初は何回も好きじゃないって思い込ませようとした!でも、僕はもうどうしようもないくらい星降が好きで好きで…好きなのに!優しい所も背が高くて格好いい所も…全部僕より優れててムカつくけど大好きなんだよっ…!」
言い切った僕は涙が溢れて床にこぼれ落ちていた。
星降は驚いた顔してた。
当然、本人は親切心のつもりでやったのにこんな事言われる何て思わなかっただろうし、泣かれるとも予想していなかっただろう。
僕はその場にいられなくなって。
外の雨の中へと走ろうとした。
しかし、僕の体は逆の方向に引っ張られて星降の体に収まってしまった。
「俺は西野空が好きじゃなきゃ優しくしないし。俺だってお前の行動に一喜一憂するし。さっき、断られた時なんてショックだった。だけど、俺は西野空…。宵一が好きだ。すごく、愛しい。」
そう言われ僕の顔は真っ赤に染まり、さっきの涙とは別の涙が溢れてきた。
ぎゅっと痛い程抱きしめてくる星降の耳は真っ赤だ。
それに、くっついているから分かる星降の心臓が煩いくらいに鳴っている。
僕だけが余裕がないんじゃないかと思っていたけど、星降も一緒だったと思うと大好きって気持ちが溢れてきた。
「宵一…。放せないくらい好きだ。」
「馬鹿、重いよ。キスしてよ。」
香宮夜は僕の首もとに埋めてた顔を上げて優しいキスをしてきた。
何度も何度もしてきた。
ようやく、キスの雨が止んだ。
「まだ、雨降ってるから。傘、入るか?」
「うん、入るー。」
手を繋ぎながら帰った時の雨は嫌じゃなくて髪が広がろうが靴の中に水が入ろうが幸せな気分で一杯で天気は雨だけど僕の心はすっきりと晴れていた。
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