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鬼丸が刀を収めると、足下に魔法陣が現れた。
唐突にである。
それが光ったかと思うと、あっと言う間に鬼丸が消えた。
残ったのは、死体だけだった。
件の鬼丸は、その事件起きた遥か遠方にいた。
一瞬の間に、魔法で瞬間移動したのだ。
した先は、薄らぐらい個室で、広さは四畳程の、コンクリートで固められた室内だ。
『任務遂行、ごくろう。』
どこからともなく、声が聞こえた。
鬼丸が、兜を脱いで、黒い下着を鼻から外した。
黒髪で、たれ目の、好青年が現れた。
年の頃は、二十とみえる。
「いえ、この程度、何時でもお任せください。」
鬼丸がそう答えると、声の主が声を上げて笑った。
「あの程度、と言うたが、レッド・サンはヒーローとして、なかなかの強者ぞ。
奴の超能力、パイロキネシスは汎用性にたけておったからな。」
「私の、超能力である、超身体能力は、あれを二人はつれてこなければ、勝てません。
その自信があります、鬼神様。」
鬼丸の返答に、気分を良くしたのか、声、鬼神は、頼もしい、と、声を出して、その存在を消した。
鬼丸は、鬼神を観たことがない。
あの声も、超能力なのか、魔法なのか、機械なのか、全く持って見当がつかないが、それでもよかった。
鬼丸の父が、働いていた。
この悪の組織で。
それだけで、この組織で戦うのに、十分な理由であると、鬼丸は考えていたからだ。
ふっと、溜め息をついた。
鬼丸が手のひらを見つめて、ボソッと呟いた。
「……絵でも描くか。」
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