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鬼丸は地下にいた。
以前、悪の組織鬼ヶ島の、党首鬼神と会話した、そこである。
鬼ヶ島のトレードマークである巨大な鬼の面と、質素な机、それに出入りの為のドアと、間接照明のみの部屋だ。
鬼の面を模した兜を、鬼丸がかぶると、いよいよ戦いであるという、何ともいえぬ奇妙な感覚が、彼を襲った。
怖くはない。
ただ、何のための戦いなのだろうか、と、脳裏を掠めた。
その後、否定した。
考えることをだ。
いったい(そもそもって意味があります)、自分は一兵士なのだ。
与えられたら遂行する。
それが、兵士だと、鬼丸は思った。
『準備はいいか?
とばすぞ?』
鬼神の声が聞こえた。
大抵、鬼神の声は最初、機械とも人間のものとも、判別のつかない、巨大な声から始まり、その後調節されたように、普通の声に戻る。
今日も例に漏れなかった。
鬼丸が恭しく頭を下げると、足下に魔法陣が出現した。
「任務は政府施設の破壊。
今回は作戦に、鬼脳(きのう)と、怪人が二体。
戦闘員が十数人つく。
頼んだぞ。」
魔法陣が光った。
移動したのだ。
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