第一章

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 鬼丸は地下にいた。  以前、悪の組織鬼ヶ島の、党首鬼神と会話した、そこである。  鬼ヶ島のトレードマークである巨大な鬼の面と、質素な机、それに出入りの為のドアと、間接照明のみの部屋だ。  鬼の面を模した兜を、鬼丸がかぶると、いよいよ戦いであるという、何ともいえぬ奇妙な感覚が、彼を襲った。  怖くはない。  ただ、何のための戦いなのだろうか、と、脳裏を掠めた。    その後、否定した。  考えることをだ。  いったい(そもそもって意味があります)、自分は一兵士なのだ。  与えられたら遂行する。  それが、兵士だと、鬼丸は思った。    『準備はいいか?  とばすぞ?』  鬼神の声が聞こえた。  大抵、鬼神の声は最初、機械とも人間のものとも、判別のつかない、巨大な声から始まり、その後調節されたように、普通の声に戻る。    今日も例に漏れなかった。  鬼丸が恭しく頭を下げると、足下に魔法陣が出現した。  「任務は政府施設の破壊。  今回は作戦に、鬼脳(きのう)と、怪人が二体。  戦闘員が十数人つく。  頼んだぞ。」  魔法陣が光った。    移動したのだ。      
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