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それから、毎日バイトをして終わったら駅で歌うという日々を過ごした
ある日のお昼休み
いつものように賄いを器に装い食事の準備をしていく
すると
「あっ、紫音、俺のも装っといて」
当たり前のように私を呼び捨てにして青山 甲斐が叫びながら通り過ぎていく
紫音「また・・・」
あまり人と絡みたくないのに・・・あれから毎日のように声をかけられる
バイトの先輩だから文句言うわけにもいかずとりあえず器に賄いを装う
急いで食べないと
席について、甲斐が戻ってこない間にばたばたとご飯をかきこんだ
甲斐が戻ってきたときには半分以上食べて終わっていた
甲斐「サンキュー」
そういいながら、向かいの席に座り食べ始める
無言・・・・
甲斐「なぁ・・・」
ビクッ
いきなり声が聞こえ体が極度な反応を示す
紫音「何ですか?」
甲斐「お前って何でそんな格好してるんだ」
言ってる意味が解らない
私の格好をこの人がとやかく言う権利はない
紫音「貴方にそれを説明する必要はないですけど、ご馳走様でした」
それだけ言うと私は席を立ちまた屋上へと向かった
最近はあのベンチのとこではなく少し死角になっている場所
そこに腰を下ろし小さいノートとペンを取り出し思い浮かんだ言葉を書き記す
この小さいノートは私の宝物
此処に書き記された事が音になる
録音機を取り出し、思い浮かんだフレーズを鼻歌にして録音する。
紫音「いい感じ、いいのが出来そうだなぁ」
甲斐「何が出来るんだ?」
ビクッ
ドキッ
紫音「な、な何でもないです・・・てか、どうして此処に」
甲斐「別に、ただ何となく」
紫音「そうですか、それじゃあ、私は戻ります」
そう言って立ち上がると
また、奴に腕を掴まれる
甲斐「なぁ、」
紫音「何?」
甲斐「俺、バンドしてるんだけど、お前俺のライブ見にこねぇ?」
紫音「はぁ?何で私が貴方のライブを見に行くんですか」
甲斐「別に深い意味はねぇけど、あんたに俺たちの歌聞かせたいって思ったから」
ライブかぁ
随分と行ってないな
紫音「私、音楽とかあんま解らないけど?」
甲斐「ふーん、そうなんだ。まぁ、それでもいいや、これチケットだから」
チケット私に渡すとあいつは屋上を出て行った
青山 甲斐 変な人だなぁ
でも、あの人はどんな音楽をするんだろう
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