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……差は歴然。それでも。
───死は間近。けれども。
……やせ我慢でもいい。虚言でも嘘っぱちでも虚勢でもいい。
───生きて会おうと言った。
……みなまで言うまい。言う必要もない。
ここに来るまで和美以外のメンバーは全員、和美を勝手にだが信じて、ついてきてくれたのだ。
───だから、負けるはずがない。
ああ、そうだとも。
だから全ては語らない。
これはリーダーの、和美の、意地っ張りにすぎない。だがそれでもいい。せっかくここまで来たのだから、せめて最後まで付き合ってあげるのが仲間というものだろう。
「……それじゃあ、私から一言、皆に言っておくね?」
悪戯っぽく和美が微笑む。それは年相応の、戦う前の戦闘兵器ではなく、どちらかといえば美少女の類に入る笑顔だった。
和美は目を閉じる。
怖いものは、何もない。
亜紀が、答をくれたから。
善司が、空に瞬く星の美しさを教えてくれたから。
ありがとう
私と戦ってくれて───
迷いはない。後悔もない。仲間は皆、たった今自分の決定に従ってくれた。
ありがとう
私を支えてくれて───
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