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「仕方ないわよ。私達は学院に───国に、棄てられた───」
そこまで言って、和美はつい先週の出来事を思い出した。
私立東都防衛学院。
それが和美や想一が通っていた学園の名だ。
国家を守る名目のもと、入学して集められた学生は特殊な訓練を受け、未来の日本を救うべく戦うため、日々精進していた。
───それが、丁度一年と一週間前の話。
和美は自分や想一、二年二組のメンバーの着ている、訓練中の学生に支給される軍服を見た。
入学当時は制服代わりの軍服にしてはえらく凝っていたため気に入っていたが、今では薄汚れている分、長い間着込んで愛着が沸いたような感覚を覚えていた。
和美や眠っている皆の周りで虫の音が響く。これがキャンプに来ている時のものであれば、文句はないのだが。
一週間前。
普通に登校していた和美達───私立東都防衛学院の生徒は突然、国専属の特殊部隊の強襲を受けた。
多勢に無勢。おまけに戦力も規模も違い過ぎる。更に学院まで爆破されてしまっては、まだ中学生である和美達にとってショック以外の何ものでもないだろう。
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