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何人もの生徒が有無を言わさず殺され、和美も、傷を負いながらも生き残りをかき集め、情報の入手に専念した。十分の九壊した学院から武器を掘り出し、何とかメンバー内で緊急武装を完成させ、生き残った生徒を狙う追っ手と戦い続け、後退しながらも辿り着いたのがこの廃墟だ。
元々酪農でもしていたのか、建物内には何もなく、ただ、屋根と壁があるというだけの物だった。
その建物も天井が朽ち果てていて、ぽっかりと開いた穴からは夜空に浮かぶ星が見える。
そして悪いことに、和美達の前方には開いたまま壊れた扉と、その先に見える少し開けた丘があるだけ。避難所というにはかなり心許ない。
「……私が悪いの。いつも一番を目指して、一人で突っ走るから。随分多くの仲間を失ったわ」
「君は間違っていない。目の前の死を、生きるチャンスに変えた」
「それだけで、皆のリーダーに選ばれて、武器と一緒に掘り出した特注の軍服まで着せられた私の気持ち、あなたに判る?」
「……」
和美は、一言で表すなら自分を責めていた。
ここに至るまで多くの人間を殺し、見捨て、時には利用してきた。
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