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「違わない!……亜紀が死ぬ前、何て言ったと思う……?
亜紀は、微笑みながら、言ったのよ……!」
───不透明な雨が降る中、和美を庇った亜紀の胸に、銃弾が突き刺さる。
致命傷を負い、雨が体温を奪う中、急いで駆け寄った和美に、亜紀は何故か、何故か笑顔を向け───
「『生きて』……って……あの子、もう目も見えてなかったのに……!!
私ずっと考えても、最期にあの子がどうして笑ったのかわからないの!!」
ヒステリック気味に、和美は喚く。
リーダーである以上、メンバーの生死は自分の責任。和美はそう考えて疑わなかった。
「私達は、何のために戦い方を学んで……」
「!……和美。夜明けだ。
……来た……!」
「っ……!?」
空がほんのり明るさを取り戻した頃、和美達のいる廃墟から二百メートル程先で、何かが動く気配がある。
おそらく和美達を追ってきた暗殺部隊。今度は数も強さも比べものにならないだろう。その証拠に、離れていてもピリピリとした殺気が伝わってくる。
それぞれが一斉に銃やナイフを構える。種類のバラバラな武器は、不思議なことに頼りなさと頼りがいを同時に感じさせる。その時ふと、和美はずっと見ていた空を見上げた。
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