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「――ああっ、イヤだな。僕のところにはいないで欲しいな」
学食周辺を調べていた善司は、そんなことをつぶやきながらキョロキョロと周囲を見回す。
だが、そんな彼の願いも空しく、食べ物の匂いに誘われたスクラップスが食堂付近にその姿を現した。
「……!」
思わず喉から飛び出そうになった声を押し止め、善司はさっと壁に隠れた。
そしてインカムに向かって小声でしゃべりかける。
「こっ、こちら一三四です。スクラップスがいました。食堂付近です」
善司のその報告を聞いた橘班の面々は、足を止めた。
「こちら橘。一三四くん、偉いわよ。それじゃあ予定通り、目標をグラウンドまで追い込んで!」
「あっ、あの橘さん……追い込むってどうすればいいのかな?」
「バカヤロウ!」
と、長太郎の罵声が善司の耳に響く。
「それくらい臨機応変に考えて、自分でなんとかしろよ。戦場で最後に頼れるのは自分自身だって習っただろう?」
「わっ、わかった。やってみるよ」
「よし、よく言った! それじゃあ後はおまえを信じて、俺達はグラウンドに向かうからな……絶対にスクラップスを追い込んでこいよ!」
「りょ、了解!」
善司がそう答えると、通信が切れた。
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