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「さて、どうしようかなぁ……」
恐る恐るといった様子で壁から顔を出し、善司はスクラップスの様子をうかがう。
見ればスクラップスは、鼻をクンクンとさせてなんとか匂いのする場所へ辿りつこうとしていた。
「お腹が空いてるのかな? それなら……」
善司は顔を引っ込めると、近くにある売店へと走る。
そしてあんぱんをひとつ購入すると、再び元の場所へと舞い戻ってきた。
「よっ、よし……行くぞ!」
あんぱんを手にした善司は、意を決してスクラップスの前に姿を現す。
それに気づいたスクラップスは、耳をピンと立て善司を見た。
(こっ、怖い――でも、みんなが待ってるんだ!)
善司は自分をそう奮い立たせると、買ってきたあんぱんの袋をあけて中身を取り出す。 そして半分に千切った片方をスクラップスの方へとぽいっと投げた。
「――!?」
それを見たスクラップスは、初めは警戒して近づかなかったが、甘い匂いに誘われて徐々にあんぱんへと近づいていく。
そしてクンクンと匂いを嗅ぐと、パクリとそれを口にする。
するとスクラップスは、凄い勢いであんぱんを平らげた。
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