ドッグファイト事件

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(なっ、なにあの野良ちゃん……超カワイイんですけどー!!)  そう、実は彼女、動物大好き人間なのである。  事実、彼女の所有しているパソコンのハードディスクは、動物の写真や動画で溢れかえっていた。  だが、この事実を知るものは少ない。 (野良ちゃんなのに、擦れていないあのつぶらな瞳。ああ、もふもふしたい……もふもふしたいよぉッ!)  ――びくっ!  野良犬は和美から危険を感じたのか、ダラダラと汗を流して後退る。 「ライドル竹箒!」  と、長太郎が手にした箒で犬を追い払おうと攻撃を繰り出した。  だが、野性の勘を持った野良犬はそれをひらりとかわす。  そして長太郎の股下を潜り抜け、校門へと向かって突撃する。 「えっ! うわぁっ!?」  自分へと向かって来た犬を見て、善司は思わず身を屈める。  そんな善司を飛び越えて、犬は校門を突破。学院の敷地内へ着地した。 「……あの犬、なかなかやりますね」  目を細め、亜紀がそう言った。 「えっ、なに?」  と、周囲の異変にようやく気づいた真帆が、ヘッドホンを取った。  そして後ろを振り返ると、こちらを挑発するように見ている犬の姿が目に入った。 「犬?」 「わぉんッ!」  犬は真帆の言葉に「その通りだ」と答えるように吠えると、踵を返して奥へと歩いていってしまった。
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