3人が本棚に入れています
本棚に追加
(なっ、なにあの野良ちゃん……超カワイイんですけどー!!)
そう、実は彼女、動物大好き人間なのである。
事実、彼女の所有しているパソコンのハードディスクは、動物の写真や動画で溢れかえっていた。
だが、この事実を知るものは少ない。
(野良ちゃんなのに、擦れていないあのつぶらな瞳。ああ、もふもふしたい……もふもふしたいよぉッ!)
――びくっ!
野良犬は和美から危険を感じたのか、ダラダラと汗を流して後退る。
「ライドル竹箒!」
と、長太郎が手にした箒で犬を追い払おうと攻撃を繰り出した。
だが、野性の勘を持った野良犬はそれをひらりとかわす。
そして長太郎の股下を潜り抜け、校門へと向かって突撃する。
「えっ! うわぁっ!?」
自分へと向かって来た犬を見て、善司は思わず身を屈める。
そんな善司を飛び越えて、犬は校門を突破。学院の敷地内へ着地した。
「……あの犬、なかなかやりますね」
目を細め、亜紀がそう言った。
「えっ、なに?」
と、周囲の異変にようやく気づいた真帆が、ヘッドホンを取った。
そして後ろを振り返ると、こちらを挑発するように見ている犬の姿が目に入った。
「犬?」
「わぉんッ!」
犬は真帆の言葉に「その通りだ」と答えるように吠えると、踵を返して奥へと歩いていってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!