3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっ、ちょっと橘さん! これってマズイんじゃないのかな!?」
善司が慌てて和美にそう声をかける。
その声にハッと我に返った和美は、ようやく冷静になって叫んだ。
「そっ、そうよ! あの野良ちゃんが校内にいたら、他の生徒たちがパニックになるわ! なんとかしないと!」
「――ふっ、俺にまかせろ!」
「なにかっこつけてんのよ、長太郎! 元はといえば、あんたが悪いようなもんじゃない!?」
「だから、俺に汚名挽回させろっていうんだよ!」
「それをいうなら、汚名返上だと思うけど」
と、真帆が冷静に長太郎の間違えを正す。
そして間髪入れずに亜紀が言った。
「……バカ」
「だぁーッ、うっせい! 女どもは黙ってろ! とにかくあいつは俺が捕まえる!」
長太郎はそう言うと、手にしていた箒を投げ出し、犬の後を追って駆け出していく。
「あっ、ちょっと待ちなさい! ――ああっ、もう! どうしてこんなことになっちゃたのよ!?」
和美は、手にした箒をブンブンと振り回しながらそう叫ぶ。
だが、動かなければ状況は変わらない。
彼女は決心して箒を置くと、橘班の全員に向かって言った。
「長太郎がなにかしでかしたら連帯責任になるわ……それなら、いっそみんなで動きましょう! 橘班はこれより、野良犬捕獲作戦を実行します!」
最初のコメントを投稿しよう!