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「バカモンッ! 貴様ら犬1匹になんという体たらくだァッ! 普段の訓練の成果を見せんかァッ!」
と、突然校庭に鬼のような怒鳴り声が響く。
その声に嫌というほど聞き覚えのある橘班の面々は、恐る恐る視線を後ろへと向けた。
するとそこには、この騒ぎを聞きつけて現れた鬼教官の姿があった。
「げぇ、なんでアイツがもう学校にいるんだよ」
長太郎はあからさまに嫌そうな顔をしてそうつぶやく
それに答えるように善司が言った。
「だってほら、あの教官は清掃活動の監督役だから……」
「ああ、そういやそうだったな」
「教官!」
と、和美が手を上げて立ち上がる。
「なんだァッ、橘!」
「はい、救援を願います!」
「――救援、だと?」
教官は眉をひそめる。和美はそんな教官の側に駆け寄り、何やら話をはじめた。
長太郎は、そんな和美の姿を訝しげな表情で見つめる。
「救援って……橘の奴、まさか教官に手助けしてもらつもりなのか?」
「それはないと思いますよ」
想一がそう言った。
その言葉にうなずいて、善司も言う。
「そうだね。あの鬼教官にお願いしても、きっと手伝ってくれないと思うな」
「――まさに、鬼」
「うわぁっ、鳥原さん!?」
突然自分の横から現れた亜紀の顔を見て、善司は声をうわずらせる。
「おまえいつの間にそんなところに!?」
「まっ、まったく気付きませんでした」
目を丸くしている長太郎と想一を見て、鳥原は?マークを頭に浮かべて首をかしげた。
「……はあっ、メンドイなぁ」
と、みんなの輪の外で、真帆がひとりつぶやく。
そこへ和美が戻ってきた。
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