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トイレの花子さん
窮鼠猫を噛む。背水の陣。火事場の馬鹿力。
多くの格言の通り、生物は窮地に追い込まれると、限界を超えた力を発揮する。
夏休みが明けの8月31日には、多くの学生がこの隠された能力を使い危機を脱している。
俺にできないはずがない。
人の常識を覆し、境地に辿り着けるはずだ。
体は身動ぎひとつ許さない。些細なことでも壊れてしまいそうな脇腹に手を当てる。
全身から滲み出る汗が、夏の空気と絡まり、服を生暖かく湿らせる。
やってやるさ。
俺は不敵に口元を引きつらせ笑い、靴底を引きずり慎重に踏み出す。
そうさ、この俺、星影 黒太郎にかかればーー
小学校の女子トイレで、用をたすなど造作もない!
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