第6章

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「悪かった」 彼女の腕を離し俺は謝った。 相当な強さで掴まれていたにも係わらず、彼女は責めることもなくすぐに許してくれた。 俺はそんな彼女の顔を見ることができず、もう一度謝ると足早に去っていった。 そんな俺の後ろ姿を彼女がいつまでも見つめていたことなど気づかずに…… 教室に着いた俺は今だに鳴り止まない心臓を押さえ、先程の自分の行動を振り返る。 なぜあの時彼女の腕を掴んでしまったのか。 彼女の言う通り、あの時俺は桜の花びらとともに彼女が消えてしまうのではないかと不安になったのだ。
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