第一章

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第一章

4時間が終わり、ガヤガヤと話し声が広がっていく。 弁当を持ち、近場の人たちと集まりはじめる。 教室を出ていく人は購買や中庭、別の場所で食べる人たちだろう。 僕、田中和俊(たなかかずとし)は、教室で食べる組だ。 窓側の一番後の席で幼なじみの初島真(ういじましん)と一緒に食べている。 野球部に入っている真は、身長が高めで、とてもがっしりとした体つきをしており、あまり背も高くなくどちらかといえばひょろいと見られがちな僕とは大違いだ。 そんな真は、今日弁当を持っていなかった。 「和俊。俺今日、購買でパン買ってくんだけど、一緒に行くか?」 「あーうん。僕も行くよ。」 購買は一階にあり、毎日たくさんの生徒が利用している。 漫画のように焼そばパンや、クリームパン等があるわけでもなく、運動部がこぞって押しかけるわけでもないが、それなりに種類のあるパックジュースとお手ごろ価格の数種類のパンが、高校生の僕たちの財布には、とてもありがたいのだ。
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