第三話 暗闇にて

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一気に話した俺は、少し息が上がった。 よくもまあ目の前の少女はあれだけ喋って疲れないなと 少し尊敬の念さえ抱いた。 そして、少女はまた冷たい声で言い放つ。 『質問は他のユーザー または 同じパーティーの仲間に 聞いてください 。』 「……。」 返す言葉が見つからずに、少し視線を横にずらした。 そのとき、少女は再び口を開き、とんでもないことを言った。 『…夢だと 思いますか?』 ――――今、なんて…… 『…それでは 、新規登録が完了しましたので ログイン します 。』 固まっている俺の後ろに、少女はいつの間にか移動し 耳元で囁く。 『―――“良い夢を”。』 そう言って彼女は、俺の目に手をあてる。 その手に、 声に まるで誘われるように ―――俺は静かに 目を閉じた。
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