第四話 夢の夢

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「うわあっ!!」 瞬時に跳び退く。 ――――あれ、 …なんか、軽い…? 自分の身体がいつもより軽く、地面を蹴ると 宙に浮かんだのがわかった。 つい先刻の自分とはうって変わって、冷静になれない自分がいた。 退くと、その白いなにかからは距離をとることが出来、このまま全力で逃げようと 背を向ける。 ―――逃げなきゃ 何故だか、瞬間的にそう思った。 あの不気味に輝く赤い目を見たら、自分の中で警報が鳴ったのだ。 …大丈夫、あんなに小さいのだから。 ―――絶対に、逃げられる。 ―――…夢 なんだから。 冷や汗を流しながら、懸命に走る。 ―――よし、これなら… 甘かった。 俺が視線を落とす 芝。 そこにはひたすらに走る少年の姿と―――… 俺の顔より小さな 毛玉の群れ 脳の思考回路と自分の足が一斉に止まり 後ろを見る。 その虚ろな瞳に映る 愛らしい動物は 赤く あかく 少年を睨んだ。
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