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俺はこっそり引き返そうと思ったが、家の人に心配させてしまうと思うと、どうにも足が重くなった。
俺は「相川」と書かれている表札を見た。
確かに俺は相川家の人間だし、この家に住んでいる。
だが、もう 違う。
何もかも、 変わってしまった。
「……ただいま」
ゆっくりと、ドアノブをひねる。
いつもと変わらない風景。
その空間に、消え入りそうに響く自分の声。
その残響をかき消すように、早足で空を切った。
すると、バタバタと慌てた調子のもう1つの足音が聞こえた。
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